【SketchUpモデリングガイド#1】お部屋の3Dモデルを作る

2024年2月13日

実践モデリング「お部屋」

SketchUpの初級者向け3Dモデリングガイドです。
3Dモデルのテーマを決めて実践形式で解説していきます。

この記事のテーマは「お部屋」の3Dモデルです。

SketchUpを使うとミリ単位までモデリングできるので、実際の部屋を正確な寸法で再現することもできます。

お部屋の3Dモデルを作っておくと、インテリアレイアウトのシミュレーションで家具を実寸で配置検討したり、あるいはDIYするときにも役に立つかもしれません。

興味がある方は、是非この記事を参考にしてみてください。

このガイドで必要なSketchUpの知識
・モデルの新規作成、保存ができる
・基本的な視点操作ができる
・直線や四角形が作れる
・移動や削除、回転ができる

SketchUpの基礎的な使い方はこちらの記事もチェックしてください。

関連記事
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・移動時の軸固定:【SketchUpの基本】十字キーで描画軸を固定する

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この記事で作る3Dモデル

モデルの出来上がり

こんな感じで部屋だけの3Dモデルを作ります。

制作は次のようなステップで進めます。
・前準備(グリッドの作成)
・床と壁を作る
・建具をダウンロードする
・建具をはめる
・色を付ける

想定のお部屋

今回作るお部屋は次の条件とします。

  • 賃貸1Kの想定で約8畳のリビング部分のみ制作
  • クローゼット付
  • 掃き出し窓1か所
参考間取り

この画像を参考にモデリングします。

モデリングの前準備

①単位の設定

自分が分かりやすい単位に設定しておきます。

この記事では単位を「cm」にします。

  • モデル情報パネルを開く
  • 設定したい単位を選ぶ

情報パネルではほかにも「精度」、「スナップ間隔」、また「角度の単位」も設定することができます。好みの設定にしておきましょう。

スナップ間隔
直線ツール(Lキー)などで描画をするときの、カーソルが移動する最小間隔です。
「1cm」にすると、描画をするときに1cm間隔でカーソルが移動します。

②91cmのグリッドを作る

今回、8畳の部屋の間取り画像を参考にしています。
正確な寸法は分かりませんので、部屋の広さは畳を単位としてモデリングします。
畳の短辺を約91cmとして、描画がしやすいように91cmのグリッドを作っておきます。

910グリッド
建築設計で尺モジュール(910モジュール)と呼ばれるグリッドです。

グリッドはグループオブジェクトにします。

グループの編集画面から制作を始めます。

  • 右クリック→グループを作成
オブジェクトで開始

続けてガイド(補助線)を入力します。

グリッドはガイドを格子状に配置して作ります。

  • メジャーツールを呼び出す(Tキー)
  • 軸線をクリック(赤または緑の線)
  • ガイド線を引き出し、キーボードから「91」と入力してEnterキーを押す
補助線を入力

続いて、引き出したガイドを等間隔コピーします。

  • 移動ツールを呼び出す(Mキー)
  • Ctrlキーを押してコピーモードにする
  • コピーするガイドを選択して、移動方向の軸線に沿って動かす
  • キーボードから「91」と入力する
  • 続けて、キーボードから「*10」とコピー数を入力する。※10回コピー
移動ツールでコピーする
連続コピーする

縦軸も同じ要領で入力してグリッドの完成です。

補助線を格子状に配置する
注)点線の四角いボックスはグループオブジェクトの編集範囲を示しています。

ここでグループの編集画面を一旦抜けましょう。

  • オブジェクト編集範囲の外で右クリック→グループを閉じる またはEscキーを押す

タグを割り付けて、グリッドの表示/非表示を素早く切り替えできるようにします。

  • タグパネルを開く
  • +でタグを追加
  • 名前を付けてOKを押す
タグを作成
  • 追加したタグを選択
  • 作成したグリッドをクリックする
作ったタグを割り当てる

「タグ」を割り当てると、画面右のタグ一覧に表示されている目のアイコン目を押すことで、表示/非表示の切り替えが瞬時にできるようになります。

「タグ」はCADなどで使われる「レイヤ」のような役割をします。
何かと使う場面の多い機能です。ぜひ覚えておきましょう。

これで91cmグリッドの準備はできました。
実際のモデリングに移りましょう!

「お部屋」をモデリングする

ここからがモデリングの本番です。
もう一度お題の部屋を見ておきましょう。

参考間取り

床と壁を作る

最初は床から作ります。
床の厚みは、ここでは「10cm」としておきます。

グループオブジェクトで開始します

  • 右クリック→グループを作成
  • 長方形ツールを呼び出す(Rキー)
  • 91cmグリッドに沿って8畳サイズの四角形を作る。
8畳分の四角形を作る
グリッド2個で畳1枚相当の広さです

  • プッシュプルツールを呼び出す(Pキー)
  • モデルを下側から見上げ、面をクリックして下へ「10cm」引き出す
下方向へ立体化する
グリッドを床面に合わせるため、下向きに立体化しています。

次は壁を作ります。
壁の厚みは「5cm」、高さを「250cm」とします。

  • オフセットツールを呼び出す(Fキー)
  • 面をクリックしてオフセットラインを内側へ引き出す
  • キーボードから「5」を入力
オフセットラインで壁の下書き
  • プッシュプルツールを呼び出す(Pキー)
  • 壁になる面をクリックして上方向へ引き出す
  • キーボードから「250」を入力
壁を引き出す

四方に壁が出来ましたが、このままでは部屋内部のモデリングが少々やりにくいです。
部屋の中が見やすいように断面ツールを使って手前の壁をカットします。

  • ツールバーから断面ツールを呼び出す。
  • カットしたい面に「断面平面」を配置する。
断面ツールを出す
断面平面を置いてモデルをカットする

平面断面を操作する
平面断面は選択ツール(Spaceキー)で選択して移動ツール(Mキー)で移動できます。
右クリック→反転で断面方向を反転することが出来ます。
右クリック→アクティブカットで断面する/しないを切り替えできます。
また、画面右の表示パネルでも断面の表示切替ができます。

建具をダウンロードする

ここで使う建具は「入口のドア」「収納の折り戸」「ベランダの引き違い戸」です。

参考間取り

これらの3Dモデルは3DWarehouseという3Dライブラリからダウンロードします。

  • 画面右の3DWarehouseを開く
  • 上部に表示されるCurated Collectionの中から「Door Live Components」を開く
Door Live Componentsを開く
  • コレクションの一覧から次のモデルをダウンロードする

入り口のドア「Residential Interior Door
引き違いドア「Exterior Sliding Door
折りたたみ戸「Bifold Patio Door

3種類のライブコンポーネントをダウンロード

ここではLiveComponentsという、サイズや色をパラメータ調整できる3Dモデルを使います。

ダウンロードしたライブコンポーネント

とりあえず3つともダウンロードしてその辺に置いておきましょう。

入り口のドアと引き違い戸はそのまま使えそうですが、収納に使う折り戸は大きすぎてこの部屋に使えません。
パラメータを調整して程よい大きさにします。

引き戸のパラメータ初期設定
ちょうどよいサイズに調整する

こんな感じでよいでしょう。
マテリアルがガラスになっていますが、後で変えます。

LiveComponentを通常の3Dモデルにする場合
LiveComponentは特定のパラメータしか変えられません。
右クリック→定義から切り離すの操作で普通の3Dモデルになり、全てが編集可能となります。
一度、定義を解除してしまうとLiveComponentには戻りませんので注意してください。

(関連記事)
3DWarehouseで3D素材を無料ダウンロード+便利機能

建具を壁にはめる

91cmグリッドを目当てにして建具を配置していきます。

次の手順で建具をはめ込んでいきます。

  • 建具を壁に重ねて配置する
  • 壁に開口するための直線を描く
  • 壁に穴を開ける

この記事では部屋をグループオブジェクトにしています。
ダウンロードした建具が部屋グループの外にある場合はグループ内に入れておきましょう。

選択ツール(Spaceキー)で選択して、カット&ペーストでグループ内に移動できます。

  • モデルを選択して右クリック→切り取り、またはCtrl+X
  • 部屋のグループをダブルクリックして編集画面に入る
  • 右クリック→貼り付け、またはCtrl+V
カット&ペーストでグループオブジェクトの中に入れておく

建具をはめたい場所へ重ねる

  • 部屋をダブルクリックしてグループの編集画面に入る
  • 移動ツール(Mキー)で建具を壁面に重ねるように配置する
移動ツールを使って配置する

つかむときに「端点」や「中点」などのポイントを掴むと位置合わせが簡単になります。

端点、中点などのポイントをつかむといどうしやすい
建具の枠を壁面より少し出しておく
壁面ピッタリに置かず、建具の枠が壁から1cmほど出るようにして置きます

壁に開口するための直線を描く

  • 直線ツール(Lキー)で壁面と建具の枠が交わるところへ線を引く
枠に沿って直線を描く
  • 建具を右クリック→非表示
建具のモデルを一時的に非表示にする
この後の操作を分かりやすくするため一時的に非表示にします

壁に穴を開ける

壁に穴を開ける
キーボードから壁の厚みを入力してもかまいません
  • 画面右の表示パネルで再表示をクリック
建具を再表示する

残りの場所も同じ要領で加工しましょう。

これで3Dモデルの形ができました。

色を付ける

あとは色やテクスチャ付けて完成にします。

色やテクスチャのことをマテリアルと呼びます。
マテリアルの割付はペイントツール(Bキー)を使います。

まずはフローリングのマテリアルを割付してみましょう。

  • 部屋をダブルクリックしてグループの編集画面に入る
  • ペイントツールを呼び出す(Bキー)
  • 参照タブを選択する
マテリアルの一覧
  • 画面右の一覧からマテリアルを選ぶ
  • 床面をクリック
一覧からマテリアルを選んでモデルの表面へ置く

テクスチャではなく色にしたい場合は一覧の中にカラーパレットがあります。
自分の好みで着色してみてください。

LiveComponentのマテリアルは設定パネルから変更できるものもあります。

  • モデルをダブルクリックまたは右クリック→ライブコンポーネントの構成
ライブコンポーネントの設定

ここでマテリアルのパラメータを調整します。

LiveComponentでマテリアルを設定できない場合は定義を解除して、通常の3Dモデルにします。

  • 右クリック→定義から切り離す
ライブコンポーネントを解除

定義を解除するとペイントツールを使ってマテリアルを割付できます。
ただし、一度解除してしまうと元のLiveComponentには戻せませんので注意して下さい。

ライブコンポーネントを解除後は全て編集可能になる
ライブコンポーネントを解除後は全て編集可能になります

ペイントツールのスポイト機能
他のモデルと同じマテリアルを使いたい場合は、ペイントツール使用時にAltキーを押すと、スポイトに切り替わり、他のモデルからマテリアルを採取できます。

後は好きなように着色して完成です。

好きなように色を付けて完成

お疲れさまでした!