SketchUp Freeで立体的な地形を取り込んでみる

2024年12月11日

夫

無料版のスケッチアップで、日本国内の3D地形モデルを取り込んでみたい!

皆さん、そう思うことはないでしょうか?

SketchUp Free(無料版スケッチアップ)は、Pro版のように立体的な地形や衛星写真の取り込みに対応していませんが、外部で生成した3Dモデルをインポートすることで実現することができます。

手順をざっくり説明すると次の通りです。
外部サイトで地形モデルを生成変換ソフトウェアスケッチアップへインポート

この記事では、その手順を画像付きで分かりやすく説明します。

新築住宅の間取りや敷地運用のシミュレーションをする場合などで、周辺の土地や環境をパソコン上で再現してみたい!という方は是非参考にしてみてください。

スポンサーリンク

SketchUp Freeで実際の土地形状を再現する

SketchUpには「Add Location (場所を追加)」という、プロジェクト内に位置情報(緯度経度の座標)を付加する機能があります。

SketchUpの有料プランでは、この機能を使って3D地形や衛星写真付きマップを簡単に追加できますが、残念ながら無料版のSketchUp Freeが対応しているのは、街路図(簡易的なマップ)の取り込みだけです。

Add Location (場所を追加)機能の対応バージョン

SketchUp FreeSketchUp GoSketchUp ProSketchUp Studio
街路図
標準解像度の衛星画像iPad のみ
高解像度の衛星画像
航空画像
地形iPad のみ
解像度制御
SketchUp公式ヘルプより引用

そこで今回は、地形情報を扱うサイトやソフトウェアを使って土地の3Dモデルを生成し、それをSketchUp Freeにインポートする方法を紹介します。

無料版のスケッチアップでもこういうことができます。↓

敷地周辺の地形と建物の3Dモデルを置いて、日射のシミュレーションをしてみた例

SketchUp Freeを使って敷地運用や間取りの検討をしている方は、このようなシミュレーションをしてみたいのではないかと思います。

この画像では、SketchUp Freeで作った住宅と敷地のモデルの周りに、地形建物の3Dモデルをインポートして配置しています。この地形モデル建物モデルは、それぞれ日本の国土や都市に関する情報を扱うサイトから取得しています。

地形モデル:「地理院地図」で提供される日本国土の地理情報を活用

💡地理院地図とは?
「地理院地図」は国土交通省提供の無料ウェブ地図で、地形図や標高データ、災害情報などを閲覧・活用可能。3D表示やデータダウンロードにも対応しています。

建物モデル:「PLATEAU」で提供される国内の3D都市データを活用

💡PLATEAU(プラトー)とは?
「PLATEAU」は国土交通省が提供する都市の3Dモデルプラットフォームで、建築や都市計画、シミュレーションなどに利用可能。データの一部は無料で公開され、多様な用途に対応しています。

今回の記事では、地理院地図で生成した地形モデルをインポートする手順を説明します。

PLATEAUの建物モデルのインポート手順は次回記事で紹介します。

3D地形を追加する3つのステップ

3D地形をSketchUp Freeにインポートする手順は、次の3ステップに分けて説明します。

①地理院地図で3D地形を生成

②地形モデルをSKP形式に変換
(この手順ではpCon.Plannerというソフトを使います)

③変換した地形モデルをインポート

手順の説明として、僕の地元にある松山城の地形をインポートしてみたいと思います。

[STEP1]地理院地図で3D地形を生成

国土地理院が提供する地理情報サイト「地理院地図」では、電子地図から3Dモデルを生成する機能があります。もちろん無料で使えます。

この地理院地図を利用して、衛星写真付きの立体地形データを生成します。

地理院地図で写真地図を選択

国土地理院のサイトにアクセスし地理院地図を開く

国土地理院のサイトを開く
国土地理院のトップページ

画面左上の地図から写真を選択

地図の中から航空写真を選択する
地図の中から航空写真を選択する

選択範囲を3Dモデル化

取込みしたいところへ画面を動かし ツール > 3D > から選択範囲を選んでクリック

3Dモデルにする範囲(大・小・カスタム)を選んでクリック
3Dモデルにする範囲(大・小・カスタム)を選んでクリック

ここの操作で、選択した範囲が別ウインドウで3Dモデルとして生成されます。

3Dモデルが表示されたら、ダウンロードの前に3Dモデルの実サイズを確認しておきます。

画面右下 方位・大きさの表示 にチェックを入れる

3Dモデルのサイズを確認しておく
3Dモデルのサイズを確認しておく

チェックを入れたその上に、3Dモデルの大きさが表示されます。
この例では南北(縦方向)1.01km東西(横方向)1.01kmとなっています。

これは後でスケール(尺度)を合わせるために必要な情報です。
なにかにメモっておきましょう。

3Dモデルをダウンロード

・画面下OBJファイルダウンロードをクリックしてリンクを開く
・3つファイル(dem.obj , dem.mtl , texture.png)をダウンロード
  補足:この3つのファイルは同じフォルダへ保存する

OBJ形式のファイルをダウンロード
画面右下のOBJファイルのダウンロードをクリック

OBJファイルのダウンロードボタンを押すと、3つのダウンロードリンクが表示されます。
この3つのファイル dem.obj , dem.mtl , texture.png は同じフォルダへ保存してください。

[STEP2]地形モデルをSKP形式に変換

ダウンロードした3Dモデル(OBJ形式)は、そのままSketchUp Freeで読み込むことはできません。
ここでは、 pCon.Planner というソフトウェアを使って変換します。

pCon.Plannerは、SketchUp形式を含め、あらゆるCADデータに対応したインテリアデザインCADです。
公式サイトからダウンロードできます。
こちらの記事でも解説しています。
(関連記事)スケッチアップ無料版でインポートを使いこなそう

ダウンロードしたファイルをpCon.Plannerで開く

pCon.Plannerを起動したら

File > Open で表示されたウインドウから、ダウンロードした dem.obj を開く

pCon.Plannnerでダウンロードした3Dモデルのファイルを開く
pCon.Plannnerでダウンロードした3Dモデルのファイルを開く

縮尺を設定する

地理院地図で生成した3Dモデルを実際の縮尺にするため、STEP1で確認した実際の大きさ 1.01km をここで設定しておきます。

Scalingダイアログが表示されたら Width の値を 1010 と入力

Base unit (基本単位) はメートルなので、1辺を1010mとして設定
Base unit (基本単位) はメートルなので、1辺を1010mとして設定

Widthしか設定していませんが、縦・横・高さの比率は維持したまま尺度変換して読み込まれます。

ウインドウ内のオブジェクトをクリックすると、プロパティからでも尺度変更できます
ウインドウ内の地形オブジェクトをクリックすると、プロパティでも尺度変更できます

SKP形式でエクスポート

編集画面では何もせずに、SKP形式でエクスポートします。

File > Export > Geometry を選択

画面左上のFileメニューからこの画面を開く
画面左上のFileメニューからこの画面を開く

ファイルの種類SketchUp形式で保存

スケッチアップのファイル形式を選択
スケッチアップのファイル形式を選択

☑Export Materials にチェック
Format Versionは最新バージョンを選択
設定したら Export をクリック

(注意)マテリアルをチェックしてないとテクスチャが反映されません
(注意)マテリアルをチェックしてないとテクスチャが反映されません

これで地形の3Dモデルが保存されました。

[STEP3]変換した地形モデルをインポート

ここではSketchUp Freeの編集画面からインポートする場合の説明をします。

💡ホーム画面の「デバイスから開く」でSKPファイルを直接開くこともできます。

編集画面からコンポーネントとしてインポート

画面左上のサイドバーを開いて インポート > 自分のデバイス をクリック

自分のデバイスをクリックするとファイル選択のウインドウが現れる
自分のデバイスをクリックするとファイル選択のウインドウが現れる

ダウンロードしたSKPファイルを選択し コンポーネントとしてインポート する。

読み込みが終わったら適当な場所をクリックして、モデルを仮配置しますが・・・
画面にモデルが現れていないかもしれません。

STEP2の通りに縮尺を実サイズにしていれば、3Dモデルのサイズはかなり大きいものになっているはずです。マウスのホイールを回してズームアウトして画面内に表示させましょう。

ズームアウトして画面内に表示させる
ズームアウトして画面内に表示させる

ここでは、とりあえず原点をクリックして仮配置しておきます。

「場所を追加」でプロジェクトに位置情報を与える

間取りや敷地運用の検討で日射シミュレーションをする場合、プロジェクトに経度緯度の位置情報を与える必要があります。

スケッチアップの機能である 場所を追加 をすることで、経度緯度の情報がプロジェクトに付加され、正確な日射のシミュレーションができるようになります。

サイドメニュー > 場所を追加 をクリック

画面左上のサイドバーからメニューを開く
画面左上のサイドバーからメニューを開く

3Dモデルと同じ地点へマップを移動させ、地域を選択 をクリック

表示させるマップは大体の場所でよい
表示させるマップは大体の場所でよい

位置情報と一緒にマップもインポートされます。このマップは3Dモデルの方位合わせに使います。なので、マップの表示範囲は位置合わせの目印(直線が明確な部分など)が入っていればかまいません。

マップを取り込む範囲を選択して インポート をクリック

白い点をクリックして範囲を決める
白い点を操作して範囲を決める

しばらくすると、このようなマップが追加されます。

原点を中心に2Dマップが現れる
原点を中心に2Dマップが現れる

これでプロジェクトに経度緯度の情報が追加されました。

3Dモデルを正確に位置合わせする

日射シミュレーションを正確にするためには、インポートした3Dモデルの向きと位置を、このマップに合わせる必要があります。

位置合わせをしやすくするために、表示を X線(半透明) にしてテクスチャを透かし、投影モードを並行投影上面視点に切り替えます。

ツールバーの機能検索窓で 「X」と入力し、X線の設定を出して ON にする。

X線をオンにするとモデルが半透明表示される
X線をオンにするとモデルが半透明表示される

画面右のシーンパネル を開いて
カメラ > 平行投影
標準ビュー > プランビュー(上)

平行投影の上面視点にしておくと位置合わせしやすい
平行投影の上面視点にしておくと位置合わせしやすい

よく見るとマップの方位が微妙に傾いているのが分かります。
正確な日陰シミュレーションをしたいので、できるだけピッタリ合わせたいと思います。

マップの微妙な傾きに合わせるという場面ですが、このような場合は、真っすぐな道など直線になっている部分を目印にすると、回転ツールの分度器で角度合わせがしやすくなります。

移動ツールMキーと回転ツールQキーを使って位置合わせをします。

移動ツールMキーで、位置合わせする目印をつかんでマップの同じ場所に置く

堀が一直線で分かりやすいので、堀にかかった橋を回転の中心にした
堀が一直線で分かりやすいので、堀にかかった橋を回転の中心にした

回転ツールQキーの回転基準線を3Dモデルの方の直線部に合わせてクリック

1回目のクリックで基準線を置く
1回目のクリックで、回転基準線を3Dモデルの方の直線部に置く

💡回転ツールの分度器を固定する
分度器を置く面を固定したいときは方向キーを使います。↑キーで青軸(高さの軸)面に固定されます。

回転線をマップの方の直線部に合うように回転させてクリック

基準線を置いたら回転線が現れる
基準線を置いたら回転線を回して、マップの方の直線に合わせる

3Dモデルをマップの方位に合わせることができました。

3D地形の配置完了です。
これで日射シミュレーションもできます。

画面右にある影パネルを使って影をオンにすれば日陰が現れます。
時刻や日付スライダーを動かして、影の当たり方を変えることができます。

【補足】影のシミュレーションでは、地形モデルを配置するときの高さ方向は特に気にする必要はありません。どの高さに置いても日射の角度は平行にキャストされます。この地形を仮に10000メートル上空に置いても、影の長さは変わりません。

まとめ

Pro版と違い、SketchUp Freeは立体の地形や衛星写真の取り込みに対応していません。
しかし外部で生成した3Dモデルをインポートすることで、これを実現することができます。

手順は次の通りです。
①地理院地図で3D地形を生成
②pCon.Plannnerで地形モデルをSKP形式に変換
③変換した地形モデルをインポート

今回の記事では、松山城の地形をインポートするまでの解説ですが、次の記事ではこの地形に松山城周辺建物の3Dモデルを追加する方法を紹介します。

新築の計画などで、周辺の土地や環境を再現して、住宅の間取りや敷地運用のシミュレーションをしてみたい方は是非参考にしてみてください!

SketchUp

Posted by マッタ